遺伝子を解析し、個人に合わせた最適ながん医療を。
明星氏が勤務する江戸川病院は、2018年2月にプレシジョンメディスンセンターを立ち上げている。抗がん剤は、同じがんであっても人によって効く場合と効かない場合がある。これまでの抗がん剤治療は、『確実に効くとは言えないがなるべく確率の高い薬を投与する』ことがベストな方法だった。ただし、薬が効かなければ当然がんは進行するし、結果的に効かない薬であったとしても、副作用は出てしまう。
プレシジョンとは、正確、精密といった意味を持つ英単語だ。がんの組織を遺伝子検査にかけることで、効果のある抗がん剤を最初に特定することが可能になる。がん治療に大きなイノベーションを起こす可能性を秘めていると言えるだろう。しかし明星氏は言う。
「160個の遺伝子を解析して、効く抗がん剤を特定することができる。これは間違いなく素晴らしい取り組みです。ただ、現在の日本では、『この抗がん剤が効く』と分かっても、その薬を使用することができないことも多いんです」
医療行為の多くは、保険制度の元におこなわれる。国民皆保険の日本はメリットもたくさんあるが、こうした最先端の医療が保険適用外となってしまうことも少なくない。
「これまでのデータを元に、胃がんにはこの薬、肺がんにはこの薬と、ガイドラインが定められているんです。該当する薬を使えば保険適用されるんですが、遺伝子検査の結果別の薬が良いと判明しても、その薬に保険を適用できるとは限りません。患者さんとしては自費診療で進めるしかないんですが、これをやってくれる病院はほとんどないのが現状なんです。日本では、自費診療をおこなう医者が『金儲け目的のアウトロー』だとレッテルを貼られる傾向があります。国の定めたガイドラインを逸脱して治療することで、責任を負うことを避けたい気持ちもあるのかもしれません」
数年待てば国の制度も変わるかもしれない。だが、がんを患っている方々にとって数年という時間は絶望的に長い。そこで江戸川病院では、明星氏が中心となってプレシジョンメディスンセンターを立ち上げ、全国から自費診療での抗がん剤治療を希望する患者さんを受け入れることを決めた。
明星氏が最も大切にしているのは、「実践する」というスタンスだ。がん患者さんを前にして「諦めてない」と言うことは誰にでもできる。しかし言葉だけでは患者さんを救えない。まだ治療の選択肢があるのに制度やしがらみによって実践できないということだけは絶対に避けたい、と明星氏は熱く語ってくれた。
プレシジョンとは、正確、精密といった意味を持つ英単語だ。がんの組織を遺伝子検査にかけることで、効果のある抗がん剤を最初に特定することが可能になる。がん治療に大きなイノベーションを起こす可能性を秘めていると言えるだろう。しかし明星氏は言う。
「160個の遺伝子を解析して、効く抗がん剤を特定することができる。これは間違いなく素晴らしい取り組みです。ただ、現在の日本では、『この抗がん剤が効く』と分かっても、その薬を使用することができないことも多いんです」
医療行為の多くは、保険制度の元におこなわれる。国民皆保険の日本はメリットもたくさんあるが、こうした最先端の医療が保険適用外となってしまうことも少なくない。
「これまでのデータを元に、胃がんにはこの薬、肺がんにはこの薬と、ガイドラインが定められているんです。該当する薬を使えば保険適用されるんですが、遺伝子検査の結果別の薬が良いと判明しても、その薬に保険を適用できるとは限りません。患者さんとしては自費診療で進めるしかないんですが、これをやってくれる病院はほとんどないのが現状なんです。日本では、自費診療をおこなう医者が『金儲け目的のアウトロー』だとレッテルを貼られる傾向があります。国の定めたガイドラインを逸脱して治療することで、責任を負うことを避けたい気持ちもあるのかもしれません」
数年待てば国の制度も変わるかもしれない。だが、がんを患っている方々にとって数年という時間は絶望的に長い。そこで江戸川病院では、明星氏が中心となってプレシジョンメディスンセンターを立ち上げ、全国から自費診療での抗がん剤治療を希望する患者さんを受け入れることを決めた。
明星氏が最も大切にしているのは、「実践する」というスタンスだ。がん患者さんを前にして「諦めてない」と言うことは誰にでもできる。しかし言葉だけでは患者さんを救えない。まだ治療の選択肢があるのに制度やしがらみによって実践できないということだけは絶対に避けたい、と明星氏は熱く語ってくれた。